わたしと小室哲哉 その2

 その1 ……というか、正確には番号無しの方に書いたけれども、小室哲哉の音楽に出会ったのは『吸血鬼ハンターD』というオリジナル・アニメ・ビデオのサウンドトラック、という形でだった。

 もともと原作小説のファンだったので、アニメのキャラクター・デザインはちょっとイメージが違うなと思い、また、実をいうと TM Network によるイメージ・ソング(「Your Song」である)も「どこがD?」という違和感が先に立ち、あまり感心しなかった。
 ただ、サウンドトラックは非常によい、と思った。

 シンセサイザーの人工音にはどうしても未来的なイメージがあり、新しいものを連想させるが、このアニメにあわせて小室哲哉が用意したサウンドは、どこか古めかしさをも孕んでいた。
 吸血鬼に支配された人類の黄昏の時代というのが、作品の世界である。古色蒼然たるホラーの世界からあらわれたモンスターが覇権を握っていながら、時間軸の上では我々の生きる「今」よりも未来であるという、相反する特徴をそなえた設定に、非常にマッチしていると思った。

 たぶん、このサントラが、わたしにとって「もっとも数多く聴いた小室哲哉のアルバム」なんじゃないかな、と思う。数えたわけではないから正確にどうかはわからないが、わたしの中での重みがそれだけある、ということなのだ。